漢方の力で薄毛を治す

薄毛は漢方で治る可能性はあります。漢方においては、身体の不調を正常に治し、自己治癒力を高めることが目的です。薄毛自体を直接治すのではなく、身体の中の「気」や「血」を整え、薄毛を治す環境を作ることです。栄養状態が悪い時は、髪を潤す「血」が不足した状態と考えます。頭髪部の血の不足は、ヘアサイクルを乱し脱毛症を招くと考えられています。「血」とは「ち」と読まないで、「けつ」と読みます。生命活動維持と精神活動の基礎物質と考えます。

1.漢方でみる原因別のタイプ

漢方は、中国で発達しましたが、日本に渡って独自の発展をしてきました。漢方は、病気を身体全体の不調和と考え、正しく整えることが目的です。ここでは、身体の不調部分別にタイプにして紹介します。

1-1.血虚タイプ

髪が細くなってパサつき、抜け毛が増えます。偏食や病気、女性では産後などの時に脱毛症の症状が出ます。これは、栄養状態が悪く、毛髪を作る物質的な不足が原因で、体内で髪を作る「血」が不足していると考えられています。<補血薬>を用います。

※補血薬・・・一般に当帰・熟地黄・奇薬・何首烏・阿膠・早蓮草を用います。 補血薬は、滋養強壮・栄養改善などの作用があり、造血機能も促進されます。

1-2.脾虚タイプ

脾虚タイプは、髪が作られる過程での弱りを示しています。私たちが口から摂った飲食物を消化し吸収して代謝され、栄養となって血や髪を作ります。その間の代謝が弱っている状態です。脾は元気ややる気といった体のエネルギーである気も作っているため、体力の低下が目立ちます。薬には、体力不足を補ったり、消化器の代謝機能を改善する処方を用います。

1-3.気滞タイプ

ストレスなどが溜まってしまうと、「気」のめぐりが悪くなり頭髪部の血行も悪くなりやすくなります。髪を作る物質や機能の低下よりも血流不足が目立ち、頭部や首、肩のコリを生じます。コルことによって頭皮も固くなり、毛髪環境が悪くなります。「気」と「血」の流れを整える<理気理血薬>を用います。

※理気理血薬・・・よく知られているものに入浴剤があります。

1-4.湿熱タイプ

暴飲暴食や栄養過多による生活習慣が「湿熱」となります。湿熱の毒が体の中に作られると考えられており、頭皮の「気」「血」の流れを停滞させてしまいます。頭皮は余分な皮脂が多くなります。よって頭皮はじめっとしやすくなり、皮膚炎を起こすこともあります。皮膚炎を起こした場合は外用薬と共に、瀉火利湿顆粒、黄連解毒湯などの薬を用います。

その他
男性ホルモンが頭頂部の毛髪に影響を及ぼす「陽実タイプ」、年齢を重ねるごとに髪が細くなって抜け落ちる「腎陽虚タイプ」などがあります。

2.西洋薬と漢方薬

西洋薬は、発熱には解熱剤といったように、一つの症状に対して効果を発揮します。漢方薬は、複数の生薬を組み合わせており、それぞれの生薬が多くの有効成分を含んでいるので、慢性的や全身的な症状に効果を発揮します。

また、西洋薬は個々であっても、同じ原因や症状には同じ薬を処方しますが、漢方薬では、個々の体質や症状を考えて、その人に合った薬を処方します。違う病気に対しても、体質や症状が似ていれば、同じ漢方薬を用いることがあります。

2-1.漢方薬に副作用はあるのか

漢方薬にも副作用はあります。西洋薬と比べれば程度も頻度も少ないので、漢方薬は副作用がないと思っている人が多いようです。ですが、合わない薬を飲めば、服用中に異変を感じる人もいます。 主な副作用として、食欲不振、熱やじんましん、むくみや高血圧、動悸などがあります