薄毛治療を病院やクリニックで行う場合、3つのポイントがあります。1.発毛の実感があるか 2.治療に対して満足しているか 3.客観的に見ても発毛効果があるか です。それらがクリア出来ていなければ、治療を続ける意味もないでしょう。医師と相談して治療内容を変えたり、別の病院やクリニックに変えてみたりすることが満足できる結果に近づけます。治療薬や治療法は、人によって合う合わないがあると思います。
ここでは、今まで紹介していない薄毛治療を検討していきましょう。
1.脂肪組織由来幹細胞移植
脂肪組織由来幹細胞移植は様々な場面でなされている治療です。美容関係では太ももやおなかの脂肪から脂肪組織由来幹細胞を抽出し、顔のしわやくぼみに注入してエイジングケアに利用されています。
また、乳がんの手術で失われた部分を修復する方法としてあります。脂肪の定着率は高く期待できますが、放射線治療を受けた部位は皮膚が硬く伸びにくいため、ある程度の期間をおいて必要に応じて複数にわたり注入を行う場合もあります。
1-1.薄毛の原因
<なぜ毛周期の異常は薄毛になるのか?>
毛包の根元には、毛を作る「毛包幹細胞」が存在します。この毛包幹細胞が、ヘアサイクルにおいての休止期から成長期にかけて細胞分裂をすることで、毛髪が形成されます。
毛包幹細胞の働きが悪くなると、休止期から成長期へのサイクルが移行しなくなり、ヘアサイクルの異常が発生して、脱毛しても新しい毛が生えてこない状況に陥ります。成長期が短く、休止期が長くなることで薄毛が起こるのです。
1-2.脂肪組織由来幹細胞移植とは
脂肪組織由来幹細胞移植とは、自分自身の脂肪から取り出した「幹細胞」を頭皮に注入する治療法です。男性のAGA、女性の薄毛に可能な治療です。
※幹細胞:組織や臓器に分化したり、他の細胞の活性化や自らを複製するなど、さまざまな能力を持った細胞であり、それぞれの臓器で固有に存在する細胞です。幹細胞には、いくつか分類がされており、胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、iPS細胞などが挙げられます。
1-3.幹細胞の効果(1)
血行促進で発毛
<幹細胞で、なぜ髪が生えるのか?>
幹細胞を頭皮に注入すると、毛根の周囲にある脂肪前駆細胞(脂肪になる前の細胞)が活性化します。この細胞から作られる様々な「成長因子」が毛包幹細胞に作用し、ヘアサイクルでの休止期から成長期へと移行を促進し、発毛を促します。そして幹細胞の能力である新しい血管を作り、血流を改善します。血流が改善されることで、髪の成長に必要な栄養が運ばれるようになり、細く弱々しい毛が、太く丈夫に育つのです。
また、硬かった頭皮が幹細胞を注入することで頭皮の脂肪不足が補われ、頭皮が柔らかくなり、さらに血流が良くなって頭皮環境を発毛しやすい状態へと導きます。薄毛が進行しているところは脂肪層が縮小して硬く感じ、髪が豊かなところは触ると柔らかく感じるはずです。
1-4.幹細胞の効果(2)
頭皮内の炎症を改善
抜け毛の原因のひとつに、毛根の周辺におこる炎症が考えられます。幹細胞を注入することで抗炎症効果のある成長因子も産生されて、毛根周辺の炎症も治してくれます。
この様に、脱毛ホルモンを抑制する内服薬治療や外用薬治療、自毛植毛、レーザー治療等とは違った目線からの治療であり、メソセラピーこそ頭皮に直接注入するということでは一致しても細胞に働きかけるという点でまったく違った治療だと言えます。